目の紫外線対策は全員に必要?−眼科医が「浴びる量」で考える夏の目の守り方−
夏になると、「肌だけでなく、目にも紫外線対策を」という広告をよく見かけます。
紫外線が目に影響を与えるのは事実です。ただし、すべての人が、外に出るたびにサングラスをかけなければならないのでしょうか。
眼科医の立場から、少し整理してみます。
紫外線と関係する目の病気
紫外線との関連がよく知られている目の病気には、次のようなものがあります。
- 白目から黒目に向かって膜状の組織が伸びる「翼状片」
- 白目の一部が黄色く盛り上がる「瞼裂斑」
- 白内障のうち、特に水晶体の外側から濁る「皮質白内障」
このうち翼状片や皮質白内障では、長期間にわたる紫外線曝露との関連が示されています。
瞼裂斑についても、紫外線だけでなく、風やほこりなどの環境要因が関係すると考えられています。
大切なのは「浴びたか」より「どれだけ浴びたか」
慢性的な目の病気を考えるうえで重要なのは、
紫外線を一度でも浴びたかどうかではなく、長年にわたり、どの程度浴び続けたか
という視点です。
農業や漁業など、屋外で長時間働いてきた人を対象とした研究でも、長年の紫外線曝露と翼状片や皮質白内障との関連が報告されています。
一方、雪山や水辺などで非常に強い紫外線を浴びた場合には、短時間でも「紫外線角膜炎」、いわゆる雪目を起こすことがあります。
つまり、
- 翼状片や白内障では、長年の「積み重ね」
- 雪目では、一度の強い「浴びすぎ」
が問題になります。
積極的な対策をおすすめしたい方
次のような方は、生涯の紫外線曝露量が多くなりやすいため、帽子やUVカット機能のある眼鏡・サングラスを使うことは合理的です。
- 農業、漁業、建設業など、屋外で働く時間が長い方
- ゴルフ、釣り、登山、ランニング、マリンスポーツなどを習慣にしている方
- 長時間の屋外部活動や屋外スポーツに取り組むお子さん
- 海、雪山、高地など、紫外線の強い環境で長時間過ごす方
紫外線対策は、帽子かサングラスかの二者択一ではありません。環境や過ごす時間に応じて、無理のない方法を組み合わせることが大切です。
日常生活では、過度に心配しなくてもよい
屋内で過ごすことが多く、外出も通勤や買い物が中心という方にまで、外に出るたびのサングラス着用を一律に求める必要はありません。
「コンビニに行く数分間にも、必ずサングラスをかけなければ将来白内障になる」という話ではありません。
紫外線対策は、ゼロか100かではなく、生活スタイルや曝露量に応じて考えるものです。
子どもは、紫外線を心配して外遊びを減らさないで
子どもが屋外で過ごす時間は、近視の発症を予防する方向に働くことが、複数の研究で示されています。
目への紫外線を心配するあまり、外遊びそのものを減らしてしまうのは望ましくありません。
通常の通園、通学、公園遊びなどで、すべてのお子さんにサングラスを常用させる必要まではないと考えます。
ただし、海や雪山、高地、真夏の屋外スポーツなど、強い日差しの中で長時間過ごす場合には、大人と同じように帽子やUVカット眼鏡で保護するとよいでしょう。
快適に過ごすためのサングラスは自由に
サングラスは病気を防ぐためだけのものではありません。
まぶしさを和らげたいときや、風、ほこり、花粉などから目を守りたいときにも役立ちます。顔に沿う形の眼鏡やサングラスは、風が直接目に当たるのを減らすため、ドライアイの方が楽に感じることもあります。
「絶対に必要か」だけで考えず、快適に過ごすための道具として、自由に使っていただいて構いません。
このような症状は眼科へ
次のような症状がある場合は、一度眼科でご相談ください。
- 白目から黒目に向かう膜が徐々に大きくなってきた
- 白目の黄色い盛り上がりが赤くなったり、異物感が続いたりする
- 急に強いまぶしさや目の痛みが出た
- 海や雪山、紫外線の強い場所で過ごした後、目が痛くて開けにくい
- まぶしさとともに、充血や視力低下がある
特に、強い痛み、視力低下、目を開けられないほどのまぶしさがある場合は、早めの受診をおすすめします。
紫外線は、必要以上に怖がるものでも、まったく無視してよいものでもありません。
大切なのは、「浴びたか、浴びていないか」ではなく、どのくらいの強さの紫外線を、どのくらい長く浴びる生活なのかを考えることです。
より詳しい論考と参考文献は、院長のnoteで公開しています。
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