近視治療2.0時台の到来!
近視の子どもは増え続けている
近年、子供たちにおける近視の割合が増加の一途をたどっていることをご存知でしょうか?
高校3年生になると、なんと裸眼視力1.0未満の割合が7割を超えています。

近視になるのは、「遺伝」と「環境」
まず、我々アジア人は生まれつき近視になりやすい遺伝子を持っているとされています。
しかし近視が増加しているのは、屋外活動の減少、近業(近くを見る作業)の増加といった環境要因が大きく関与しています。
コロナ下においてはさらにこの傾向が加速したと考えられます。
このグラフは横軸が近業(近くを見る作業)の量、奥行きが屋外活動の量です。
近くを見ることと、屋外活動が少ないことの両方がセットになると近視のリスクが激増します。

近視はなぜいけないのか
眼鏡をかければ遠くが見えます。それでいいじゃないかと考える方も多いでしょう。
実は近視の正体は眼の前後の長さが伸びる状態で、すなわち眼の変形を意味します。
眼が変形することで網膜剥離を始め、緑内障、白内障、黄斑変性などのリスクが増加します。
眼鏡で解決する問題ではないのです。

では近視の進行に対してどうしたらいい?
近視は基本的に小児期、特に幼稚園〜小学校、中学校の間に進みます。
海外を中心に様々な近視進行を抑える治療が試みられ、最近のものは非常に良い成績をおさめるようになってきました。
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点眼治療:低濃度アトロピン。寝る前に1回使う
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オルソケラトロジー:夜間に装用するコンタクトレンズ。昼間は裸眼で1.0を目指す
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多焦点ソフトコンタクトレンズ:昼間に使う。強度近視でも対応可能
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特殊眼鏡
しかしいずれも我が国は近視治療に対して有効とは認めてきませんでした。
近視治療2.0時代の到来!
令和7年4月、我が国で初めて近視治療の点眼薬が承認され、近日発売予定となりました。
また、令和7年秋には多焦点ソフトコンタクトレンズのMiSightも近視治療の国内適応を取るとのことです。
特殊眼鏡も令和7年末、あるいはもう少し先で国内に入ってくるとのことです。
オルソケラトロジーも近視治療として国の承認は取っておりませんが、有効であるとの国内外の報告も多数あり、すでに多くの施設で導入されています。
(当院でも300例を超えています)
現在のところ、全て自由診療枠で高価ではありますが、日本国内でも近視は治療できる時代になってきているということです。
子どもたちの未来のために
まず、子どもの近視は生活習慣により悪化することを知りましょう。
家庭でできる対策として
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屋外活動の確保:目標2時間以上!
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近業の管理:姿勢を正し、こまめに休憩を挟む(少なくとも20〜30分に1回は遠くを眺める)
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デジタルデバイスの管理 手に持てるデジタル(スマホ、携帯ゲーム機)は最小限の使用にする、テレビなどの大きな画面で扱う
詳しくは厚生労働省のページにも書いてあります。
そのうえで、近視の進行が止まらないのであれば新しい世代の道具(点眼、コンタクトレンズ、特殊眼鏡)の導入を考えていきましょう。
子どもたちの未来の健康のために、まずは近視治療2.0の時代が来たことを知ってください。