小児の近視
近視とは
近視とは、ものを見る時のピントの合う位置が通常より近くなってしまっている状態を言います。
近視を引き起こす要因として以下の2つがあります。
- ピント調節力が過剰に働く調節性近視
- 軸長(目の前後の大きさ)が延長する軸性近視
軸性近視は物理的に目の形が完全に変わってしまっているので治療はできませんが、調節性近視は生活習慣指導や薬剤で改善することが出来ます。さらに、小児の調節性近視は軸性近視に移行することが最近の研究で分かってきました。
実際、携帯ゲーム機やスマートフォンの普及により近見作業が増え、明らかに小児の近視が増加しています。その中には調節性近視が多く含まれています。さらに眼軸長が伸びるにつれて、緑内障や網膜剥離、様々な近視合併症が生じるリスクが増大します。黒板の字が見えにくい等の生活上の不便だけでなく、こうした将来起こりうる近視合併症を防ぐ意味でも、小児の調節性近視の積極的治療が非常に重要になります。
検査について
視力検査、オートレフラクトメーターを行い、裸眼視力、矯正視力(眼鏡での視力)を測定し、ピントの位置も評価します。
当院は小児の近視では全例眼軸長を測定しており、近視を軸性近視と調節性近視の成分に分けて評価しています。
治療について
まず近くでものを見すぎる生活習慣を改善する必要があります。調節性近視に関してはそれだけで改善するものもあります。さらに、近視の進行を遅らせる治療として以下の自費診療で点眼治療とコンタクトレンズによる治療(オルソケラトロジー)を行っています。
点眼治療
点眼治療ですので、就学前の小児から開始することができます。点眼回数は毎日就寝前の1回だけです。通院当初は1ヶ月に1、2回の頻度で通っていただくこともありますが、安定してくれば3ヶ月に1度程度の通院となります
オルソケラトロジー
夜間に装用するハードコンタクトレンズを用い、近視を矯正しつつ、近視の進行を遅らせるものです。自費診療になりますが、すでに眼鏡が必要になっている方にお勧めしています。