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加齢黄斑変性、少ないケアでより良い視力を得るために知っておくべきこと

2024.11.28目の話

加齢黄斑変性のおさらい

加齢黄斑変性は50歳以上の1.3%がなる、比較的まれな病気です。
放置するとおおよそ2年で0.1以下の視力になるとされ、社会的失明と呼ばれる字が読めない程度まで見えなくなる病気です。
遺伝(体質)、環境(たばこ)、加齢が関係する複雑な病態が背景にあり、基本的に診断されると一生治療や経過観察を続けなければいけません。

治療の主軸は硝子体注射と呼ばれる、目に対する注射です。
注射の大変なポイントは、基本的にエンドレスで行っていくところです。
落ち着いている人でも半年に1回程度、病勢が強い場合は毎月注射する場合があります。
注射をしない、あるいは減らすための方法をまとめました。

サプリメントの摂取

2024年9月に加齢黄斑変性のガイドラインが変更されました。
進行の度合いで早期、中期、後期、末期との分類がなされ、大型のドルーゼンなどが出現する中期以降からサプリメントの摂取が推奨されています。
ここで言うサプリメントとは、カロテノイドのルテイン、ゼアキサンチン、ビタミンのCとE、亜鉛の5つの栄養素からなるものです。
決してルテインだけ入っていればいいものではなく、飲むならば5つの栄養素が揃ったものを選んでください。

2018年の論文ですが、サプリメントを摂取することで注射回数が減少し、サプリメントは費用対効果に優れていると記載されています。
頻回注射が必要になる場合は、サプリメントの摂取が推奨されますね。

光線力学療法の併用

加齢黄斑変性にもいくつかの型があり、その中でアジア人に多いとされるポリープ状脈絡膜血管症(PCV)というものがあります。
PCVには以前より光線力学療法と呼ばれる特殊なレーザーが有効とされています。

光線力学療法の単独療法では注射の単独療法に勝てないと言う結果が出ました。
その後、注射+光線力学療法の併用療法が検討されるようになりました。

この論文ではPCVを対象にした、注射単独療法と注射+光線力学療法の併用療法の比較をしています。
2年の経過で併用療法の方が視力の改善が良く、注射回数が少なかったと報告しています。
6年の経過も報告されていますが、まずまずの経過の印象です。

PCVを有さない加齢黄斑変性には否定的な意見が多いです。
必ずしも万能ではありませんが、選択肢には入れていきたい治療です。

さらに、同じくアジア人に多いと言われるpachyhoroid neovasculopathyという型にもこの治療は相性が良いです。
神戸大学の三木先生(一緒に研究会の世話人をやっている、大好きな先生です)が書かれた多施設共同研究の論文では1年間の経過で良好な成績が得られています。
特に、pachychoroidでPCVのないものでも、追加治療は20眼中1眼しか必要がなかったとしています。

直接光凝固

いわゆる黄斑というのは視力の中心です。
黄斑から離れた病変であれば光凝固(通常のレーザー治療)を行うこともできます。
視力が下がらないようにする配慮が必要ですが、再発のリスクも少なく良い治療です。
古くから行われている治療ですが、視力が元々不良だったり、病変の出方によっては良い治療になります。

おわりに

加齢黄斑変性は病型により治療への相性がかなり異なります。
主治医の先生と相談し、必要に応じて加齢黄斑変性の専門医にも相談するのが良いでしょう。
院長は加齢黄斑変性を専門の一つとして診療しています。
(学位論文も加齢黄斑変性関連です)
当院では硝子体注射は国内で認可されているすべての種類が使えますし、病型を決める蛍光眼底造影検査、光線力学療法、直接光凝固も使えます。
病状により、最適な治療を提供していきますのでいつでもご相談ください。