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黄斑レーザー(糖尿病黄斑浮腫、毛細血管瘤の光凝固)

2021.7.5目の話
2021年も半分が過ぎましたね。院長です。
コロナ禍で自粛が続いている中、糖尿病網膜症が悪化されている患者さんが増えています。
原因としては、内科通院頻度の減少、運動不足、在宅時間が長いことによる食べすぎ、、などがあるかと思います。
糖尿病網膜症の中でも、視力に直結するのが黄斑浮腫です。
今日はこれに関連した黄斑レーザーの話について書きたいと思います。

糖尿病黄斑浮腫について

糖尿病が原因で目の底の網膜がいたむ状態を糖尿病網膜症と呼びますが、
その結果網膜の中心である黄斑にむくみが出ることがあります。
そのむくみの原因はびまん性浮腫(全体的にむくむ)と、局所性浮腫(部分的にむくむ)があります。
大まかに言うと、

びまん性浮腫=全体的に血管が弱る(透過性亢進)ことが原因。

局所性浮腫=毛細血管瘤と呼ばれる小さな血管のこぶからの水漏れが原因。

になります。
いずれも抗VEGF薬の硝子体注射で治そうとするのですが、局所性浮腫のほうは注射がかなり効きにくい傾向があります。
「こぶ」が原因の漏れに対しては、当院ではまず黄斑レーザーを行います。

黄斑レーザー、治療の実際について

黄斑レーザーは文字通り黄斑部にレーザー光線を当て、この「こぶ」だけを焼く治療です。
毛細血管瘤のサイズは50〜100ミクロン(0.05〜0.1ミリ)のサイズになります。
実際の症例をお示しします。
まず眼底写真。当院の最新の機械であるMiranteの画像です。
青矢印のところに「こぶ」(毛細血管瘤)があります。
サイズは100ミクロン弱です。
これに対してレーザー治療を行います。
0.5ミリずれただけで黄斑の中心を誤射してしまうことになりますので、非常に慎重な作業が必要になります。
治療結果をお示しします。
まず眼底写真
赤いこぶが消えているのがわかります。
ついで、OCT angiographyの画像です。
OCT angiographyは微細な血管を描出する最先端の画像診断技術です。
こぶは白い点で描出されますが、これもきちんと消えています。
丸い水たまりが消失している事がわかります。

黄斑レーザーは浮腫に対する有力な治療ツール

対象になる毛細血管瘤のサイズが極小ですので、非常に繊細な治療です。
術者の多くの経験と技術が要求されますが、院長は兵庫医大時代よりたくさんの治療を行っています。(後輩で兵庫医大の中井先生がその時の仕事を論文化してくれました。M.Nakai H.Iwami et al Grafes Arch Clin Exp.Ophthalmol. 2021)
全ての病状が黄斑レーザーの適応になるわけではありませんが、
硝子体注射だけで治りきらないような場合には当院でできることがあるかもしれません。
お困りの方がおられましたら、ご相談ください。

(注)

眼科の先生方向けの注釈です。
今回の毛細血管瘤は中心窩無血管領域(FAZ)の縁にほど近い領域に存在していました。
浮腫の程度は軽度でしたが場所が悪く、このあと瘤や浮腫が増大した場合には治療に難渋する恐れがありました。
これについて患者様と相談の結果治療に踏み切り、いい結果を得た症例です。
もし糖尿病黄斑浮腫でお困りの先生がおられましたら、ご相談いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。